のぐち英一郎の鹿児島ガイド #8 「鹿児島市の高価なアート、採算の取れぬ自主文化事業」


のぐち英一郎の鹿児島ガイド

テンダー
はいどーも!ご無沙汰ですね。
野口さん
こんにちは。お久しぶりです!
テンダー
わたくしがてー庵の補修やら、ソーラー本やらにかかりっきりで、野口さんをほったらかしてしまいました。猛省してます。
全国1千万の野口ファンのみなさま、ごめんなさい。
野口さん
そんなにファンがいてくださるんだ!知らなかった。
というわけで、今日は鹿児島の高価なアートと、自主文化事業が変わる!という話です。
テンダー
おお。野口さんアート好きですもんね。
ちなみに、鹿児島市とアートの歴史はどんな感じなのでしょう?

鹿児島市とアート


野口さん
鹿児島市をアートという切り口で見ると、豪華な買い物をしてきた歴史があります。

アーキペンコ、座る女 2000年、私の市議一期目のときですね。その時は、年末の議会に4700万円の彫刻を買う議案が出ていました。
アーキペンコ作「座る女」という作品です。市立美術館のための買い物でした。


その当時から、市の買おうとするアートやデザインものは、ディーラーから狙われている感じがしていました。なので、その彫刻の売買履歴についての詳細データを請求したところ、教育委員会がとても小さな字で書かれたオークションの記録を持ってきたんですね。

のぐち英一郎の鹿児島ガイド
それをつぶさに見ながら、全く同じ彫刻のオークション履歴を調べると、なんと、ニューヨークの市場では半額でした
テンダー
それは、高い買い物しちゃいましたね。
野口さん
鹿児島の市立美術館が買うと、なぜニューヨークの倍になるのか。そうまでして買わないといけない作品なのでしょうか、大切な税金4700万円を使って。

そういった形で、鹿児島市には定期的に芸術品を買う状況がありました。
だけどそれは時代にそぐわないし、市としての優先順位は低いのでは、と初議席をいただいて以来、議会で指摘を重ねてきました。

市というものは体裁があるので、言われてすぐにはやめにくいようです。なのでその年・2000年は結局その彫刻を4700万円で買いました。
テンダー
おお。豪奢ですね。
野口さん
こちらが、アート購入の資料です。

鹿児島市、アート品の購入金額一覧(クリックで拡大画像)

そして、翌年は日本人の作品を買い、2002年から2003年は買うのが中断されます。

これはおそらく、私の指摘を踏まえてのことだと思います。
そしてまた、

2004年は日本人のものを買い、
2005年はまた大作を買い、
2006年から2010年までは年末に買うのをやめていました。

計7年間、5000万円の買い物が止まったので、
議会での個人質疑から、合計3.5億円のセーブができたことになります。
テンダー
うーん、鹿児島市はお金、あるんですね。
野口さん
もし、多くの市民がほしい、と思うものがあるならば、きちんと市民に聞いてから買えばいいと思うんです。
(※ ただ、ほしいものが対外的にわかってしまうと、芸術品は値段があがってしまうので、アートの買い物は難しいと言われています)

私自身は、美術や芸術に税金を使うのは、図書館を豊かにするのと同じようにすばらしいことだと思っています。

しかし現状では、むしろ雇用問題の方が深刻です。
そういう鹿児島市であるなら、5000万円でヨーロッパの絵画を買うより、今鹿児島に生きてる人の支援のために5000万円を使った方がいいと思うんですね。
テンダー
やー。その通りですな。
高額なアートの買い物は彫刻や絵画だけなのですか?
野口さん
いえいえ。今回の9月議会での私の勘所、
自主文化事業も含まれます。

鹿児島市の自主文化事業


テンダー
そもそもジシュブンカジギョウってなんですか?
学校のカリキュラムが「自習分か授業か」という選択の余地のこと?
野口さん
おお、よくヒネリましたね。苦しいけど努力が見えます。
テンダー
てへ。
野口さん
自主文化事業というのは、
市民の文化環境を豊かにする、という目的のもと、世界的・もしくは国内で広く知られるような高い評価を持つアーティストをお招きし、比較的リーズナブルなお値段で、市民のみなさんが鑑賞できる機会を提供する、という事業です。
テンダー
おー。高尚ですな。
その自主文化事業は、どんな歴史だったのでしょう?

鹿児島市、自主文化事業の変遷


野口さん
まず、自主文化事業というのは、年に数回あります。しかし、ほぼ毎回と言っていいほど、お客さんの入りがよくありません。

直近の有名な方のピアノのツアー(マキシム・ピアノ・ソロツアー2014)では見込んだお客さん数の35%しか入らず
また、11月に開催される有名なオーケストラ(マレイ・ペライア指揮&ピアノアカデミー管弦楽団)の演奏では、1600人の動員見込みに対して
9月のなかばの時点で、8%しかチケットが売れていませんでした。
テンダー
おお、イベント屋なら大赤字ですね。
野口さん
市も同じです。自主文化事業は、赤字の事業なのです。

仮に、みなさんが望むゲストをお招きしているのであれば、もっとチケットが売れていいはずです。
ところが売れていないということは、多くの人が望んでいないかもしれない、ということですよね。

つまり、この事業のあり方は、本当に「市民のための自主的な文化事業」になっているのか、という話なんです。
テンダー
それに2000万円を使っちゃっている、ということですね。
野口さん
はい。そういった自主文化事業のあり方は、常々議会で追求していたわけなのですが、
今回の2014年・9月議会の本会議で指摘したところ、なんと市民局長より

「ご指摘については、これまでの事業の状況を考えて、いろんな面から検討したい」
という答弁をいただきました。

私にとっては、『検討したい』がどうにでも受け取れるお返事だったので、
発言の真意を尋ねると、

「指摘の通り、事業自体が目的とかみ合っていないので、そのことは変える方向で検討したい」
とのことでした。

議会でこのような直接的な改善のお返事をいただけたことは、
議員生活15年の中で、本当にはじめてのことです。
とてもうれしかった。
テンダー
おお、おめでとうございます。
野口さん
ありがとうございます。

局長の返答が遠回りすぎてわかりにくいですが、
その部分は以下の議会動画より。(53分13秒から)




テンダー
うお!この「各面から検討したいと思います」ってのが改善するという意味なんですか?
3回見て3回聞き逃しました。
もはや業界用語のレベルですね。
野口さん
さすがに今回は、私も真意がわからなくて確認しました。
役所はメンツもあって、なかなか
「改善します、すいませんでした」とは言いにくいのかもしれません。
テンダー
やー。オトナって大変。
野口さん
とにもかくにも、
市も自主文化事業の迷走を認め、
改善を約束してくれました。

そのことが、今回の個人質問の成果として得られたんです。
今までの努力がひとつ実って、とてもうれしい。
テンダー
おめでとうございます。
自主文化事業の今後の改善というのは、つまりはどういうことなんでしょう?

鹿児島市の自主文化事業を良くする


野口さん
そうですね、
自主文化事業のコンセプト自体はいいものだと私は思っています。

私も、むしろこんな人を呼びたい、というようなアイデアをずっと考えているくらいなので。

だから、事業をなくすのではなくて継続しつつ、みんなが呼びたいゲストの案を募って、市のお金で呼ぶ事業にしていきたい、という思いが私にはとても強くあります。
テンダー
なるほど。その方がずっと魅力的ですね。
具体的にはそのために、どういう手順を取るのですか?
野口さん
そもそもが、誰かを呼んでパフォーマンスをしてもらうための事業なので、幅広くアンケートを募ったり、人気投票をしてみたり、とにかく市民の声が反映されたものになれば、と思います。

それがきっかけとなり、自分たちの税金の使い道を自分たちで決める、という形の事業がひとつでもふたつでも実現できれば、またひとつ、鹿児島の政治が開かれたものになると思います。
テンダー
ふむ。
ちなみに自主文化事業は1600人が動員見込みの最大数ですよね。

だったら、
「自主文化事業はこのくらいの予算があって、こんなゲストも呼べちゃいます、その上で誰を呼びたいですか?」というアンケートを募るなりして、1600名以上が行く、という事前予約が取れれば、それはもう成功しちゃう、ってことなんですか?
野口さん
そういうことになりますね。
テンダー
おお。
例えば、1600人の声がそうやって集まったら、それを野口さんが議会にかける、みたいなことができるんですか?
野口さん
はい、それはもう!

今回のときと同じく、本会議で
「このような自主文化事業をやってほしい、という市民の熱い思いがある」ということを直接、森市長にその場で提案することもできますし、
みなさんと一緒に、森市長に直接提案しにいく、ということもできます。
テンダー
そしたら実現される可能性が高い?
野口さん
そうですね。そう思います。
テンダー
おお。それは面白い。
まあ、考えてみたら断る必要ないですよね。市にとって。
市の実績になるし、市の事業で満席になって、みんな喜んだ、というのは鼻が高いですよね。
野口さん
三方良しですね。
学生さんの社会参画とかでもアリですね。
テンダー
なるほどー!
というわけで今回は鹿児島とアート、自主文化事業のことを教えていただきました。

これはぜひ、来年人気投票をして企画化しましょう!

野口さん、今日もありがとうございました。
野口さん
ありがとうございました。
ではまた次回!






野口英一郎
鹿児島市議。2000年に 28歳で初当選。以来4期当選、現在にいたる。
なかなかわかりづらい政治の話を、議員だからこそ知りうる内情も混ぜて、わかりやすく解説します。
趣味は、水泳と読書と料理(片付けは苦手)。
entaku.info




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この記事の著者

テンダー

ヨホホ研究所主宰の、泣く子も訛る社会派ヒッピー。 電気関係、ウェブ、文章表現、写真、選挙、先住民技術、などが研究対象。 2016年のテーマは、持続可能性の本を書くことと、アウトフローを極めて綺麗にすること。