山へ。03 – 断念


山へ。03 - 断念。
下山しました!(お写真はイメージ)

断念の理由は、ひとえに、梅雨、技術の足りなさ、判断の甘さ、山の技術と知識のいたらなさ、地域へ安易に入ってしまったこと、などなど。

結局、最長で一泊二日しかできずじまい。
宮崎県の山に入っていたのですが、標高が1300mくらいになってくると、だんだん植生も少なくなり、そもそもの山自体も人工林が多かったりして、思い描いていた「山像」と、随分ちがっておりました。山に幻想をいだいていた。

食べ物は、主に 熊笹のタケノコと幼虫、は朝露と渓流の水を飲んで過ごしておりました。寝床は、大きな石の下にあった空間に、シェルターの技術で壁を作ったものの、石伝いに雨水が流れ込み、朝には石の下がプールになったり。

全身濡れて、夜通しガタガタ震え、しかし真っ暗の中でどうすることもできず(シェルターの改修も、移動もできない)、「さむい、どうしよう、さむい、どうしよう」とつぶやきながら朝を迎えたり。

そのまま下山するものの、雨の中、裸足で、泥だらけの全身びちょ濡れ(かつ ロン毛)で、村をとぼとぼ歩いておりましたら、

わたくし、

通報されました。

折しも、オウム容疑者逃走中の折。
お世話になっていたお寺さんが、おまわりさんに丁寧に事情を説明してくださり、ことなきを得ましたが、安易に地域に入っていったことをとても反省。

いやはや。

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これからはしばらく、南九州の平地(枕崎の拠点に近いところ)で、3〜7日の短期キャンプを繰り返して、経験を増やします。今回行って気付いたけれど、わたくしが学んだトラッカースキルは、基本的に平原インディアンのものなのかもしれない。日本の山地の状況から考えると、適切でないようなものがある感じがいたしました。

また、山では、食料の心配はなかったものの、脱水症状になり、判断と行動がどんどん遅くなる状況を経験。一歩歩くのに、10秒くらいかかり、考えもどんどん消極的になっていく。だんだんとふらつき、簡単につまづいては転ぶ。やー、恐ろしい。

そして、あれだけ練習した火起こしが結局、梅雨時にはできず。何度も挑戦し、体力がすり減っていくという悪循環。乾いてるものを見つけることがとても難しかった。

山へ。03 - 断念。

「火を起こすとは何か?」を根本的に考え、先住民の教え、「火は技術で起こすものではない。造物主からの贈り物なのだ」ということに立ち返りました。

まったく目標とは違うプロセスであったけれど、今の実力と状況、生存に必要な要素をきちんと自覚できた、とても良い機会でした。
それと同じように、現在の日本の野山が直面する状況(人工林、植生の狭さ、山が「生きる根源」から離れてしまっていること)を目の当たりにしました。

いくらトラッカースキルを練習しても、このままでは、日本の野山で生きることができなくなってしまう日が来る。

トラッカースキルの練習と、ケアテイカー(地球の世話人)への知識とアプローチはセットだ。

いやあ、大変勉強になりました。

というわけで生きてます!

つづく!


この記事の著者

テンダー

ヨホホ研究所主宰の、泣く子も訛る社会派ヒッピー。 電気関係、ウェブ、文章表現、写真、選挙、先住民技術、などが研究対象。 2016年のテーマは、持続可能性の本を書くことと、アウトフローを極めて綺麗にすること。