2014年のスバルとテンダーの無人島合宿。7月開催のご報告。


無人島に求めるもの

プライベートなことでもあるので、ここでは細かく書かないけれど、

ひとつのスキルに対して、もっと試す時間や、試す機会が欲しい、との意見がちらほらり。

うーむ。わたくし、それはなかなか難しいと思いますぞ!

無人島合宿2014-7月

というのも無人島は、わたくしからしたら実践と実感の場であって、練習の場ではないように思う。

もちろん、はじめてやることの方が多いだろうから、そういう意味では練習であってもいいのだけど、
いくらサバイバルスキルの高いメンバーが場にいても(藤原さんは、そういう人たちのことを「アウトドア用心棒」と呼んだ)、天候や波には勝てないわけで、つまりそこには優先順位があるわけですね。

ひとつの作業に、全体の体力のうちの配分として、10のうち6を使っちゃえば、あとは4しかないわけで、
たとえば魚の調達に体力のうちの6を使うようじゃ現実的ではないのです。

なぜなら、食事の優先順位は低いから。

それよりも身体を濡らさないことや、体温を下げないことの方が大事だし、場合によっては、虫や蚊にわずらわされずよく眠って体力を温存できる方が大事かもしれない。

そして、何か動作をしなければ体力が減らないか、と言われればそんなことはなく、炎天下の中、外にいるだけでどんどん体力は減っていくわけです。

わたくしが思うに、こういう状況で一番大事なのは決断の早さであって、何かを丁寧に試してみる、みたいなことは対極にあるように思うんです。
もうちょい言うと、試すこと自体に実力がいる。

効率やクオリティを下げない水準で、必要な作業をしつつもその中で小さく試すというか、損益を生まないように試すというか、そういう勘。

んで、そういうことをじゃあ参加者さんに要求するのか、と聞かれれば、わたくしは要求しないわけで
だから今回の無人島合宿オトナ版は、娯楽としてしか成立しないかなぁ、と思っておりました。

スバルさんとは、今回は娯楽で!という話で合意していたのだけれど、
参加者さんからすると、もっとハードなサバイバルを期待していた、という声も上がったわけです。

うーん。

そのときも言ったけれど、そしたら無人島じゃなくていいんじゃないのかな。
このリスキーな条件(海が荒れたら帰れない。食中毒、熱射病、骨折などがあってもどうしようもない)で、
そこまでの懐の深さは提供できないぞ。

たとえにひとつ挙げるなら、薪は有限なわけです。
今は、自分たちしかその場にいないかもしれないけれど、ここで遊ぶ人たちは他にもいるかもしれない。
条件のいい、水場に近い平地のまわりからどんどん薪を集めていってしまえば、あとからここに来る人は大変になります。

火のことを気に掛けてくれる人が多ければ、必要な薪の量は減らせます。

また、状況によっては、雰囲気を重視する焚き火よりも、リチャージャブルな電気照明の方がバランスがいいこともあるかもしれない。

そういうことを学ぶのは、やはり無人島じゃなくて、陸路で安定している場所や、書物からの方が無理がないんじゃないのかなぁ、とわたくし思うのでした。

とにもかくにも、とっても考えさせられた。
それだけ、「無人島」という言葉がデッカイ、ということですな。

要ミーティング!

最終日。おうちに戻るまでが無人島です。

無人島合宿2014-7月

昨夜の話し合いを踏まえて「自分でやってみるタープ張り」

参加者さんがここだと思う場所に張ったタープに対して、後から採点方式。

その後は、後片付けとゴミ拾い。終わり次第海遊びをしていると、
漁船がはやく迎えにいらして、
あっさり無人島を離島。

無人島合宿2014-7月

さらば無人島。

無人島合宿2014-7月

名谷さんの横顔が森鴎外みたいで感慨深い(わたくしの無人島の思い出)。

無人島合宿2014-7月

本土側の「がんじん荘」前で随時解散。
お写真はまさかの どこからどうみても34歳同い年トリオ。


というわけで、
あっという間の3日間。

わたくしとしては、今後の主催するキャンプの在り方に
大きな一石が投げ込まれたキャンプとなりました。

うーん。葛藤だ。

その後、まだお時間ある人たちは黒潮農場で火起こし練習。

無人島合宿2014-7月

かもしーさん発火!

無人島合宿2014-7月

無人島合宿2014-7月

藤原さんはまるっと火起こし一連ができるようになってた。
今回のキャンプを一番楽しんでたのは間違いなく藤原さんだ。

このうれしそうな顔ときたら。

無人島合宿2014-7月

つづく。

8月開催もより良いものになるようがんばりまーす。


この記事の著者

テンダー

ヨホホ研究所主宰の、泣く子も訛る社会派ヒッピー。 電気関係、ウェブ、文章表現、写真、選挙、先住民技術、などが研究対象。 2016年のテーマは、持続可能性の本を書くことと、アウトフローを極めて綺麗にすること。