47億円に匹敵?! DIYで下水の汚染度を要チェックだ!
でっかい公共事業が始まりそうだ!
排水 ハイサイおじさん!
というわけで、鹿児島のサモアこと南さつま市が
「環境の保全のため」に公共下水道事業を始めそうなんだけれど、
そもそも公共下水道は、
・10万人都市の90%以上で赤字事業(総務省調べ)
・1度着手すると引き返せず、人口減とともに赤字が連綿と続く
→和歌山市は下水道代金4割増!みたいなどエラいことが起きてる・加入率が低いと目も当てられない。
→今のところ南さつま市の説明会参加者は、対象地区人口の20%程度。和歌山市の加入率は29%程度。・そもそも公共下水道は、現在普及している合併浄化槽と、性能や仕組みは大きく違わない。
・その上で、工事が始まれば13〜43万円もの、受益者負担が生じる(!)
・当初予算226億円の街で、工事のために47億円使う。
などなど、調べれば調べるほど、出るわ出るわの問題だらけ。
しかも現状で、30%の賛成、40%の反対らしい。反対優勢じゃん。
そもそも、住宅の密度の低い地方の都市に、こういう大型インフラは向かないんじゃないの?と思いながら聞き込みを続けると、更に衝撃的な事実を知る。
「そもそも市は水質調査をしていない」
との事。
ひゃー。
じゃあ工事をしても、改善できたかどうか、分かりようがないよね?
そんな状態で、47億円も使うって決めちゃうのかい?
というわけで、いつもの押してダメなら押し倒せ精神で、
自分で測ろう水質汚染。
ヨホホ研究所らしく、久々の研究っぽい作業でとっても楽しい。
採取地点は、市が「悪臭がひどい」とした益山用水路の、川に合流直前の排水が集積するであろう場所。
ちなみにこの用水路にはコイが数匹。
コイやフナは汚れに強いらしく、BOD(生物化学的酸素要求量。水の中のバクテリアが、汚れを分解するために必要な酸素の量)が5、という値なら住めるそうですよ。他の川魚は、1以下じゃないと住めないそうな。
こちら、汲み上げた排水。
若干、「川の水臭」はするけど、悪臭と言うほどかなぁ?
見た目はえらく透明。
遠目に見ても透明。
さっそく実験開始だ!
取りい出しましたるは、みんな大好き川の水調査セット。
以前、てー庵の水環境を危惧するヨホ研読者の方からいただいたもの。さっそく開みよう。ベリベリベリ。
おお!
中には説明書とチューブが入っていて、チューブの中には白い粉末が入っている。これが川の水と反応して、リトマス試験紙のように色で結果をお知らせしてくれるそうな。うーん、素晴らしい。
調べられるのは、
・COD(化学的酸素要求量。水の中の酸化できるものを酸化しきるのに必要な酸素量のこと)
・アンモニウム態窒素
・亜硝酸態窒素
・硝酸態窒素
・りん酸態りん
の5項目。
そもそもわたくし理系じゃないので、詳しくはわからんけれど、とりあえず行政のレポートなんかだとBODとCODを注視してることが多いので、ここでは測定できるCODを気にしてみよう。
(CODが高くても、一概に汚い、とは言えないとのこと。あくまで一つの情報ね!)
というわけで、説明に則って、チューブに排水を入れてみる。
説明に従って待つこと5分。
おお!
色が変わってきた!
用水路はどれだけ汚れてたの?
出てきた数値がどれくらいのものなのかの感覚基準は、こちらの水質データの基礎知識の指標がわかりやすかったので、参照しましたよ!
ではさっそく。
こちら、りん酸態りん。
0.15mg/lくらい?
雨水レベル。
硝酸態窒素。
2mg/lかなぁ。
湧水・地下水レベル。
亜硝酸態窒素。
間とって、0.075mg/lかしら。
河川の上流水レベル。
アンモニウム態窒素。
間とって、0.035mg/l。
河川の上流水・湧水レベル。
そしてCOD。
むむむ。8以上、かな?
今回の検査キットの上限値が8までだったので、詳しくは測れず。
とりあえず
・COD10以上で魚の住めない川、
・こちらの鹿児島県の資料を見ると、「下水道終末処理施設」でCOD平均13。
とのことでした。
実際にコイが住んでるから、凄まじく高いわけではなさそうだけど、これは要再調査ですな!
COD以外はきれいみたいだし、専門家の見解を聞きたいところ。
ということで改めて水質調査キットを調べたら、
CODを100まで調べられる、特化キット「パックテスト COD ZAK-COD (10回分)」を発見!
これを買って近いうちに再調査しますよ!
そもそもの下水の話、解決まとめ
久々の実験に興奮冷めやらぬまま、調べてわかってきたことのまとめ。
1.公共下水道と、合併浄化槽の差は集合処理かどうかの差であって、性能差ではない
ふたつの仕組みはほぼ同じ。
同じなのに公共下水道工事が始まってしまえば、合併浄化槽はもう使わずに、更に10万円以上の出費がかかるという・・・。
2.合併浄化槽以外の単独浄化槽と汲み取りは、生活排水をどうするか
図を見ての通り、単独浄化槽と汲み取りの場合、お風呂やキッチンからの排水は全部そのまま川にインなわけですよ。
ところがどっこい、人が消化した後の糞尿よりも、消化前の天ぷら油だったり、食品だったりのほうが、分解されにくく、COD・BOD的な汚染としては大きいわけです。
そこで、環境省の資料を見ると、単位はBODだけど、
おおう・・・!
ラーメンの汁を台所に流すと、コイが住めるBODに戻すために1トンの水が必要・・・!
こちらは、静岡県下水道公社より。
小皿1杯の醤油で、450Lの水・・・!
米のとぎ汁で、1.2トンの水・・・!
そもそも、下水処理技術の高い下水処理場でも、チッソの53%、リンの34%が処理しきれず素通りするらしい。
よって、排水問題の根本解決としては、浄化槽をどう改善するかよりも、食品をキッチンに流さないことなのでは?
3.水に流さない話
こっからは感覚でしかないけど、食べ残しや、食品の汁は薄めて畑にまいたり、コンポストに入れた方がいいんじゃなかろうか。
おがくずを利用するスープコンポストみたいなものを作ったら、調子良さそう。
そもそも、環境問題は終端じゃなくて、発端で手を付けないと解決しない、という話がシステム思考にあった。
であるならば、今回の場合は、下水処理を高度にするかどうかよりも、そもそも水じゃないものを水に流さない、ということだと思う。
つくづく思うけど、47億円もかけるような話じゃない。
その前に
1.水質調査をし、
2.町の人に「キッチンの排水と汚染の規模」を説明し、
3.スープコンポストのように、どうすれば工夫で解決できるかを提案する
というのが答えだなー!
いろいろやってみよう。続く!
2016.2/9追記:↓ 続き
これ素晴らしい!!!ほんとありがとう!
ぼくは知らなかった。そしてみんなに知って欲しい。
その後もプロジェクトは続いておりますよ!
続報を待て!