ディーピーさようなら



六ヶ所村に住んでいた2007年初頭から、かなりハードに乗り続けた 軽自動車、ディープインパクト号(愛称:ディーピー)。

走行距離 計13万キロ強、雪山でも海岸線でも どこに行くにもご一緒してた、エレキとともに、テンダー研究員の良き相棒。先月に車検が切れ、今の懐事情では とても修理できない、ということで、泣く泣く廃車にいたしました。

9月10日、近くの 車屋さんに引き取りに来てもらうことに。

本当だったら、丁寧に解体&海外で部品リサイクルする 業者さんに持ち込みたかったのだけど、持ち込もうとした直前に左後輪が回らなくなり、すっかり動かなくなってしまいました。だけど今日来た 車屋さんは無理をして、広い通りに停めたレッカー車まで動かそうとするのです。

すると、

坂の途中で動かなくなり、それでも車屋さんは無理にアクセルを踏むので、タイヤが溶け、エンジンから煙があがります。

その様が なんだか、
「いやだ!行きたくない!」と ディーピーが駄々をこねているように見えて、胸が詰まるのです。

人力で押したり、ちょっと休ませたり、いろいろしてみたものの、結局坂の途中で止まってしまい、そこまでレッカー車を入れることになりました。それから ウィンチでずるずると引きずられて。


[レッカー車の上]

なんだか、彼に とてもひどいことをしたように感じるのです。

もっといい方法はなかったのか?

車屋さんは、スクラップにします、と言っていたよ。それは 控えめに言ってもかなり暴力的に、彼の存在がなくなることで、

今日までに勉強していれば、エンジンやダイナモを他に転用することだって充分できたはず。そもそも、構造を理解して自分で直すことだってできたと思う。

だけど、僕は何もしなかった。現実と折り合いをつけてあきらめた。

捨てられる何かを見るたびに、人間は何て勝手なんだろうと思う。
君がそれをできない代わりに、それは 君の力になってくれているのに、こともなげに人はそれを捨てる。

道具を使うのは、己が無力さの証明なのに、道具を捨てることが特権かのように振る舞う。

ディーピー。
ありがとうね。とってもお世話になりました。何度も車中泊をさせてもらいました。炊事も洗濯も、中でミーティングもしたし、人と喧嘩もした。僕の家であり、相棒であり、

日々でした。
うん、日々でした。

僕は、今日のことを忘れないようにします。
モノに対する姿勢は、他者に対する姿勢と同じであって、切り分けられるものではありません。

有限の人生を、やりきる。
必要があれば、いくらでも勉強もするし、練習もする。

それが、物事に対する礼儀だと思うのです。

さようなら、ディーピー。
ごめんね。


この記事の著者

テンダー

ヨホホ研究所主宰の、泣く子も訛る社会派ヒッピー。 電気関係、ウェブ、文章表現、写真、選挙、先住民技術、などが研究対象。 2016年のテーマは、持続可能性の本を書くことと、アウトフローを極めて綺麗にすること。