海に潜るようになってから、夢を見るようになった
気付けば翡翠色の海の中から
水面を見上げていた。今いるのは、水面がはっきりわからないくらいの深さ。
それでも見上げ続ける薄曇りの水面。
すると、何やら黒いものがゆっくりと落ちてくる。ゆるやかに、まっすぐとこちらに何かがやってくる。
ひんやりした海水のなか、
まだまだ止めていられる息には余裕がある。
それでも酸素を使わないようにじっとしていると、
やってくる何かの細部がだんだんと見えてきた。それはカヌーだった。
蔦や葉の細やかな装飾が入った、木造の古い、美しいカヌー。
ところどころに剥がれかけた金色の塗りが入っていて、とても丁寧に、とても愛されて作られたのだろう。カヌーはこちらに船首を向けて、ゆっくり、滑るように沈んでくる。
翡翠色の海のなか、わたしはわずかに横にずれる。
一呼吸を置いて、目の前を大きな大きな古いカヌーが、海底に向かってゆっくりと沈み行く。蔦や葉の美麗な装飾は、あたかも呪文のように眼前を通過した。
これでよかったんだ。
まるで生き物のようなカヌー。
これでよかったんだ。
最近見た一抹の夢。
去年から海に潜るようになって、
海に潜った日は夢を見るようになったことに最近きづいた。
びっくりされることもあるけど、この10年くらい、ほとんど夢を見なかったのに。
そしてカヌーの夢を見た。
オチも何もないのだけど、海に潜ると夢を見るもの?
これって潜る人の常識?
それともうひとつ不思議なこと。
もぐって見た夢は、起きても忘れない。
なんだか、地球の深くに潜ることが、自己の潜在意識というものへの暗喩、もしくは相似象なのか?とかいろいろ考えてしまった。
今日は不思議なヨホ研。なんだかもやもや。つづく。