陳情したけど、ガッカリです。南さつま市の公共下水道問題その3


ぐったり

いやはや、地方の政治って大変。
これから移住を考えてる人は、移住希望先の議会を一度見に行くことをオススメします。

南さつま市の場合、まだまだ道のりは遠い・・・というところ。

というのもわたくし、公共下水道問題にツッコんでいって、署名集め&陳情までやって、今日陳情を扱う委員会が終わったのだけど、

ひとことだけ言わせてほしい、

もう疲れた!!!

(そんな今までの経緯を知りたい方はこちら)

47億円に匹敵?! DIYで下水の汚染度を要チェックだ!


てなわけでチラシを作り配り、勉強会を2回開催し、署名を集め、陳情を出したことにより、

新聞にたくさん載った。

南日本新聞 2016.2/15
南さつま市の公共下水道問題

南日本新聞 2016.2/23
南さつま市の公共下水道問題

ちなみに以下は南点連載時に自分で書いたもの。

鹿児島・南日本新聞「南点」欄、テンダー連載13〜14話をウェブ公開

この原稿は議会でも取り上げられ、自分で言うのもなんだけど、今回の下水道問題の発端になったと思う。

それと、新聞にたびたび載ることで、確実に市内での公共下水道事業問題が認知され、多くの人が知ることとなった。ここまででも、十分すぎるくらいやった甲斐があると思う。

3月議会の一般質問

議会のイメージ
(写真はイメージです)

平神純子議員の質問を聞いてたのだけど、話されてる内容のレベルに唖然。
これが議会なのか???

1.議長が「休憩、あ・・・、いや再開」というような進行と役割を把握してない状況がたびたびあった。

2.平神議員が質問を終えようとしたところで、市長が挙手して発言。その内容はわたくしが思うに平神議員自体の質疑と関係していない議題外発言であって、ならば議長が止めるべき、かつそれができないなら議会事務局長が止めるべき、それもできないなら議員さんがヤジとばすポイントなんだけど、誰も動けず。謎の市長のプレゼンが8分続いた。

3.平神議員の質疑が昼休憩を挟み、午後の再開と同時に市長が「反問権」を行使。反問権の行使は南さつま市で初の出来事だったらしい。ただ、南さつま市の議会条例では反問権は議員の質問と質疑に対してのみできる、となっているのだけど、反問の後に、質疑と関係ない持論を長々と述べていた。これは反問じゃないので、議長が止めるべき。市長はとても感情的でした。

4.質疑の内容について。住民説明会で「水質調査はしていない」と建設部長は言っていたものの、実際にはしていたことが平神議員の質疑で発覚。生活環境課では毎年調査していて、建設課が今回の下水道事業のためにした調査はない、という意味で言った、とのこと。無理スジ感ある。

5.以上1〜3までは明らかに議会運営上おかしいので、今日、議会事務局に相談に行った(本来なら議長のところに行くべきなんだけど、そもそも議長が問題だと認識していたらこういう事態は起きないので、わたくし、相談相手を選びました)ら、係長の方からまったく同じポイントで「私も、今回の件は良くないと思い、市長と議長に申し入れしときました」との事でした。南さつま市議会に良心があって、やや安堵。

ちなみに、今回の議会進行について、鹿児島市議ののぐち英一郎さんのご紹介で、議会の父と呼ばれる野村稔さんに相談しました。とっても気さくな方でした。この場を借りてお礼申し上げます。あざっす!

という一部始終を経て、ちょっと南さつま市議会はヤバいんじゃないか、と思い始めた矢先、本日事件が起きました。

今回の陳情を扱う産業建設委員会

2月の頭に、議会事務局に以下のような陳情を出したのだけど、

南さつま市公共下水道反対署名

簡単に言うと、
・公共下水道は環境のためって言ってるけど、事前に水質調査しないと良くなったかどうかわかんないよね。

・そもそも下水って、リンや窒素を取りきらずに富栄養化は防げない装置だから、家庭の排水溝に水以外のものを流さない啓発活動の方が先だよね。

という内容2点。

これは「誰からも反対できないもの」かつ「全員が恩恵を受けるもの」を陳情として、900筆以上の署名を添えて提出。さらにこれを不採択にすると、「水質調査も環境保全の啓発も受け入れない南さつま市」という不名誉な記録が残ってしまうので、採択せざるをえないだろう、と考えてのこと。かなりスジのいい手だと思う。

さてはて委員会が始まると、

都市整備課
「陳情をいただいたので、先日、市内3か所を計測しました(!)。BOD50前後、大腸菌群が16万個と、汚染が確認された」

と、なぜか陳情の採択前に陳情内容が実施されている。どういうことだ。

南さつま市の公共下水道に関する配布物
(議員さんに配られた資料。傍聴席には配られない。)

以下、その後の討議にて。
貴島修議員「(建設部長へ)そもそもなぜ、住民説明会前に水質調査をしなかったのか?」
都市整備課「公共下水道工事はいずれにせよやるので、水質調査をする必要はない、と考えていた」
貴島修議員「こういうところちゃんとやんないから反対されるんでしょ!(というニュアンス)」

山下美岳議員「家庭排水の啓蒙は大事なこと。今まで市民生活課はしてないの?」
市民生活課「してないです。これから取り組むことを検討しています」

などなど、陳情に対して、公共下水道推進の議員さん方が好意的な反応。
というか、陳情が採択される前に、「水質調査」も「排水処理の啓発」も、実行され、確約されてしまった。

そして、なぜか市役所の執行部が悪者になっている、という良くない図式。そういう問題じゃないでしょ、と議員方に言いたいのを傍聴席でグッとこらえる。

委員会の間、誰も陳情の内容に反対するものはおらず、「意味のあることだと思います」というような発言も出てきて、休憩を挟み、いざ採決———。

委員長「この陳情に、賛成の方は挙手をお願いします」

すると・・・

なんと誰も挙手せず!

委員長「賛成僅少により、この陳情は不採択となりました。これより休憩を挟み・・・・」

いやーーーー、びっくりです。
そもそも賛成してなくて不採択ならわかるの。わかるのよ。

だけど、直前まで賛成してたじゃん。朗々と。その時に賛成意見を言ってた議員が、なぜ手を挙げないのか。

まあ、実質はわたくしの要求したものは実施されることになったので、いいっちゃいいんだけれども。

あまりの衝撃に、思わず新聞社の方が廊下でわたくしに
「すいません・・・あれ、今のって何が起きたんですか? みなさん賛成してたんじゃないんですか?」と聞かれる始末。議員さん方はこの結果が記録に残るの、わかってんのかな?

ちなみに採択前の、議事録を取らない委員会の休憩中(自由討議とも言う)に、山下議員が
「この下水の対象地区の税収が一番多いの。言わばドル箱ですよ。税務課行けばすぐわかる。だからそこに投資する、そういう話ですよ」というようなニュアンスのことを言っていた。(録音禁止なので不正確かも)

公式の議事録に残らないのと、傍聴席の人が発信するのは別の話ですぜ。
たぶん、今まで一度も南さつまではこういう事態が起きていないから、わからないんだと思う。

ちなみに、議会でも委員会でも本当にびっくりするんだけど、道端のうわさ話の域を出ない話が平気で行き来する。

貴島議員「大浦地区に若い子が残ってるのは下水があるからだ」
(何人、何歳の人がいて「下水があるのも居住の理由ですよ」と考える人は何人いるんだ?)

市長「加世田の対象地区の昼間の交流人口は1万人いる」
(誰がいつ、どのように調べたの?延べ人数?ユニークユーザー?)

山下議員「油は固めて処理するとか、みんなやってる話ですよ」
(誰が調べたの?処理方法は知ってるだけ?実際毎回やってるの?)

とかとか。
そういうの、どっからソースを引っ張ってきてるか、言わなくていいのかね?
議会や委員会は、そんな井戸端会議みたいなことをやる場所じゃないでしょ。
とりあえず強い口調で言ったもん勝ち感が強くて、めまいがする。

そして、市長の反対派対策

その後、とある情報筋から、市長からのお達しが回っている、とのこと。
「反対派が適当なことを吹聴してるから、市民が騙されないために市職員が説明できるよう、全職員を対象に4日間の下水道勉強会を今月やります」という話が出てるそうな。

もう、なんというか。
推進とか反対とかじゃなくて、世界の最先端事例ではエコロジカルサニテーションというドライコンポスト式(そもそも下水に流さず微生物分解するので、配管費用がかからない。ちなみに従来の下水工事費の70%が配管工事)だったり、いろんな事例がある中で、

「街の発展=事業所誘致&水質保全=公共下水道しかない!」って決めてることが問題でしょ、そしてのその予算規模が街の規模に対してでかいでしょ、ということを言ってるんだけど、

そういう意見を敵対視したり、こちらの発信を歪めたり貶めたりして自分たちの正当性を上げようとする市政が悲しい。

その後、市が作成した資料。相変わらずソースは不明、論点は未整理のまま。

南さつま市の公共下水道に関する配布物

南さつま市の公共下水道に関する配布物
(47億円を市民が負担する、なんてことはこちらは一度も言ってない。ちなみにこの試算は加入率70%のもの。そういうことも書かない)

南さつま市の公共下水道に関する配布物
(利用者2000人、なんてこともこちらは一度も言ってない。居住者が2000人の地域に対して、と言っている。ちなみにこのチラシからは、以前はあった個人の手出し額の記載が消えた。)

この見積りだって、勉強会にお招きした霧島の下水業者の方からは
「一概には言えないけど、相当安く見積もってると思います」とのことでした。

それと工事費の大部分は「国が払ってくれるからいいんだ!」ってことを議員さんや市長は言うんだけど、そのお金も結局、自分たちが払ってるわけで、市税と国税を分けて正当化しようとしているのを見るたびに、何が言いたいんだろう??と思ってしまう。

いやー。消耗した。イケハヤさんのテンプレを使うことはないだろう、と思ってたけど、ここで使わずしていつ使う。

今回、騒動が始まる前に、南さつまの聡明な方から「南さつまの政治に期待しちゃいけない。関わらないようにした方がいい」って強く釘を刺されたんだけど、だんだん意味がわかってきた。

うーん、どうしたもんかな・・・・。
やれることは多々あるんだけど、すごい徒労感。
珍しく希望が持てない。。。

つづくー(のか?)。

参考:エコロジカル・サニテーション

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[動画] 公共下水道の仕組みの説明


この記事の著者

テンダー

ヨホホ研究所主宰の、泣く子も訛る社会派ヒッピー。 電気関係、ウェブ、文章表現、写真、選挙、先住民技術、などが研究対象。 2016年のテーマは、持続可能性の本を書くことと、アウトフローを極めて綺麗にすること。